夜空は、いつ見ても同じ姿をしているように見える。けれど実際には、気の遠くなるほど長い時間をかけて、今この瞬間も変化し続けている。
40億年後には隣の銀河そのものと合体し、身近な月でさえ、今日も少しずつ地球から離れていっている。2つのスケールで、変化し続ける宇宙を見ていく。
40億年後、隣の銀河とぶつかる
今の夜空に小さな光の塊として見えているアンドロメダ銀河は、実は秒速110km程度という猛烈な速さで天の川銀河に近づいてきているとされる。このペースで進むと、およそ40億年後には天の川銀河とアンドロメダ銀河が衝突すると予測されている。
「銀河同士がぶつかる」と聞くと、星同士が次々と衝突する派手な光景を想像しがちだけれど、実際にはまったく違う。銀河の中はほとんどが何もない空間で、星と星の間の距離は途方もなく大きいため、星同士が直接ぶつかることはほとんど起きないとされる。その代わりに起きるのは、互いの重力に引かれ合いながら、数十億年という時間をかけてゆっくりと形を変え、最終的に一つの銀河へと混ざり合っていくプロセスだ。
この過程で夜空の見え方も大きく変わっていく。合体が進むにつれてアンドロメダ銀河は今よりもずっと大きく空を占めるようになり、最終的には天の川銀河とアンドロメダ銀河が合わさった、新しい一つの銀河(「ミルコメダ」と呼ばれることもある)になると考えられている。
自分たちが今見ているアンドロメダ銀河は、いずれ自分たちの銀河そのものと一体になる相手だと思うと、見え方が少し変わってくる。
月は、今日も少しずつ遠ざかっている
もっと身近なスケールでも、宇宙は変化し続けている。月は毎年およそ3.8cmずつ、地球から遠ざかっているというのは、レーザー測距という手法によって実測されている事実だ。
原因は地球の潮汐力にある。月の引力が地球の海を引っ張ることで生じる潮の満ち引きが、逆に地球の自転にわずかなブレーキをかけている。このとき失われる地球の自転エネルギーの一部が、月を外側へ押し出す方向に働いている、という仕組みだ。
月がこれほど近くにあるのは、実は今だからこそと言える。誕生した約45億年前の月は、現在よりもずっと地球に近い距離にあったと考えられており、当時の夜空に浮かぶ月は、今よりもかなり大きく見えていたはずだとされる(具体的にどれくらい近かったかは推定の幅が大きく、研究によって数値は異なる)。
そして未来に目を向けると、月が遠ざかり続けることで、いずれ「皆既日食」が起きなくなる日が来るとされている。月が地球から見て小さくなりすぎて、太陽を完全に覆い隠せなくなるからだ。
つまり、皆既日食を見られるということ自体が、地球の46億年の歴史の中でもたまたま今という時代に重なった、期間限定の現象だということになる。
スケールは違っても、共通しているのは「今も動いている」ということ
銀河の衝突は40億年という途方もない未来の話で、月の後退は1年に3.8cmという、日常の感覚では気づけないほど小さな変化だ。スケールはまったく違うけれど、どちらも「宇宙は静止画ではなく、今この瞬間も動き続けている」という同じ事実を示している。
もっと知りたくなったら
銀河の構造・宇宙論の入門書や、月についてやさしく解説した本がある。気になった本があったら、プロフィールのリンクからチェックしてみて【PR】